技能実習生受入れのための事業協同組合の設立~実習生受入れ計画について~

投稿者: | 2020年5月23日

代表行政書士の茂木です。(´・ω・`)

 技能実習生を受け入れようと事業協同組合を設立するために、事業計画書を作成しますが、その事業計画の中には、当然、技能実習受け入れに関する計画も含まれています。

 この技能実習受入れ計画ですが、けっこう多くの留意事項があります。留意すべき、そして、事業計画であらかじめ考慮しておく事項を列挙してみますので、ご参考にしていただければ幸いです。

① 初年度に一体何名の技能実習生を受け入れるのか?

 事業協同組合を設立すれば、当然その組合の維持管理費(家賃、従業員給与、月々の諸経費、税理士費用、JITCO登録費用、各種保険費用等)が必要です。その維持管理費を捻出できるだけの事業計画にしなければいけません。

 技能実習生を受け入れると、おおよそですが、どの組合さんも月々2~3万/実習生1人/円の 監理費を徴収するかと思います。基本的には、その監理費でもって、組合としての技能実習事業を賄っていくこととなると思います。そのように考えれば、組合の維持管理費を賄うために何名の実習生を受け入れるべきか?は必然的に計算できるかと思います。ただ、協同組合には、技能実習事業だけではなく、その他の事業-共同購買事業、共同販売事業、教育事業等々-とたくさんあります。組合の維持管理費は、組合として行うすべての事業の収入(手数料)から補填する事になります。

② 初年度に一体何名の技能実習生を受け入れ可能か?

 これは、上述の①と似ていますが、全然違う事です。ご存知の通り、一つの企業が技能実習生を新規に受け入れられる人数は、法律で決まっています。協同組合設立時は、だいたい法定最低限の4社(人)から始めることが多いと思いますが、その場合は、その4社の技能実習生受け入れ人数にかかっています。

 たとえば、4社のうち2社が、技能実習生を受け入れることができない業種の会社であれば、この2社分は実習生受入れ人数が減ります。他の2社が3名ずつ受入れ可能であれば、初年度の技能実習生受入れ可能総数は6名(法定最低限数)までとなります。

 したがって、組合設立に向けた技能実習生受入れ計画には、設立にかかわる会社の業種や会社規模が初年度の実習生受入れ人数に深く関わってきます。ただし、このことは、あくまで設立時(組合設立認可申請時)の話しで、設立後は、新たに組合員を募集するなどして実習生受入れ人数を徐々に増加していくことは可能です(そのためには理事会や臨時総会、総会などを経る必要が出てくることもあるかもしれませんが。)。

③ 監理責任者を誰にするか?

 監理責任者の就任は、様々な欠格事項があります。その欠格事項に引っかからないような人物を選ぶ必要があります。たいていは、設立時の4社(4人)のうちの誰かが監理責任者に就任する事になると思います。

 そこで注意する事は、監理責任者に就任した1人(=A社社長とします。)は、自分のA社では技能実習生を受け入れることができない、という事です。

監理責任者は、実習実施者(=A社)が技能実習をしっかりやっているか?をチェックする立場です。チェックする人とチェックされる人が同じでは、不正やりたい放題です。したがって、この場合は組合設立にかかわるB社社長を監理責任者として指名します。もしも、B社も技能実習生を受け入れたいのであれば、A社社長をもう一人の監理責任者として指名する必要があります。一つの組合(監理団体)に二人の監理責任者です。

③ 協同組合の監事を誰にするか?

 これも注意が必要です。監事は、事業協同組合の運営が適正に行われているのか?をチェックする人です。もしも、この監事に就任した人が上述の監理責任者に就任している場合は、原則NGです。

 なぜなら、監理責任者は「組合の技能実習事業を実行・運営する人」という位置付けです。しかし、監事は「組合の運営(技能実習事業含む)が適正かチェックする人」です。もうお分かりと思いますが、ここでも実行する人とチェックする人が同じになってしまいます。ザルチェックですね。(;´д`)トホホ。したがって、組合の監事は、技能実習受け入れのための監理責任者足りえないという事になると思います。

④ 技能実習生を受け入れるまでの組合維持管理費をどれほど準備しておくのか?

 事業協同組合を設立してからすぐに技能実習生を受け入れて受入れ収入を得られるわけではありません。技能実習生を受け入れるためには、事業協同組合を設立した後に、「監理団体許可申請」を行い許可を得る必要があります。組合設立後、その許可を得るまでに、早くても2~3か月かかります。さらに実習生を受け入れるようになるまでに、入管への申請準備、申請審査と2ヵ月~3ヵ月そしてこの5~6か月の期間は、事業協同組合としての収入はほとんど無収入かと思います。

 しかし、この5~6か月の間も、事務所家賃、常勤従業員給与、事務費、その他諸経費が容赦なく襲い掛かってきます。ざっと少なく見積もっても150万~ほどでしょうか?それプラス、事業協同組合を設立するための初期の「出資金」があります。

 もちろん組合には、技能実習事業以外にも共同購買事業など様々な事業があり、そこからの手数料収入があると思いますが、基本的には、技能実習収入に頼った事業計画(思惑)になっていると思います。

 事業協同組合を設立するにあたっては、それなりの資金を4社で工面して始める必要があると思います。

 ⑤ その他の事項

 技能実習生を送り出している外国機関(送り出し機関)があります。どの国から技能実習生受入れ、そしてどの送り出し機関を利用するのかを、組合設立時点で決めておくのが良いです。

 技能実習生が日本へ入国すると、「入国後講習」というものがあります。この入国後講習に係る費用(教材費、通訳翻訳費、宿泊費、講師代など)も組合設立時の事業計画で計上しますので、あらかじめ、どれほどの費用がかかるのか見積もっておくことが必要です。

 その他にも細かい考慮事項は多々ありますが、とりあず上記ご参考にしていただければ幸いです。m(__)m

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