技能実習生の経歴詐称について

投稿者: | 2018年7月18日

代表行政書士の茂木です(´・ω・`)。

先日、経営管理ビザの許可が出ました。一度不許可になり、二度目の申請です。

ご相談を頂いてから、1か月後に一度目の申請をし、3ヶ月審査のあと不許可、そして再申請までに8ヵ月程費やし、二度目の申請後、6ヶ月の審査期間を要し、ようやく先日許可が下りました。(>_<)

ご依頼人様は完全にあきらめムードでしたが、許可をいただくことができ、お客様は毎日お祭り騒ぎです。

なぜ、これほどまでに時間がかかってしまったかと言えば、タイトルとおりの「技能実習生時代の経歴詐称」が発覚してしまったからです。

技能実習生として来日するためには、日本で行う実習内容と同種の仕事に母国で就いていた経験が必要です(例外有り。)。

つまり、日本で溶接なら母国でも溶接関係の仕事、日本で成型加工なら母国でも射出成型関係などです。

しかし、この要件を満たしている人は技能実習生応募者にはほとんどいない、と聞いています。それなのに毎日、たくさんの技能実習生が来日しています。

なぜでしょうか?おそらくですが、ほとんどが自己の経歴を偽って入国していると考えられます。応募者本人が経歴詐称しているのか、送り出し機関主導なのか、日本の受け入れ機関主導なのか、はたまたその全部なのか、は全く分かりませんが、「日本で行う実習内容と同種の業務をあたかも行っていたかのように履歴書を改ざん」して申請している案件が少なくないようです。

「技能実習生の過去の経歴に関する入管の調査」は、どうやらかなり甘いようですので、この時は技能実習ビザが下りるようですが、実習が終わり、母国に帰ってから数年後、また日本で働きたくなった場合などに厄介です。

今度は、就労ビザの申請になるわけですが、今度は技能実習ビザのように甘くはありません。過去の経歴詐称が発覚する可能性は高いです。しかも、本人は過去に経歴詐称したことなんて忘れていますし、送り出し機関主導であれば、全くその事実を知りません。

そんなこんなで、一度目の申請は経歴詐称が発覚して、不許可。m(_ _)m

そして、二度目にトライですが、こっからが大変でした。

このような事案で過去に許可の下りた事案を探しましたが、あまりありませんでした。また、経歴詐称に関して、事実確認をしたかったので、関係人全てに連絡を取りましたが、送り出し機関(もうすでに潰れてた)や受け入れ期間(もうすでに事業撤退)は、当然ですが、まともま回答はいただけませんでした。また、申請人本人の供述も信用し難いものでした。

本来であれば、➀経歴詐称の状況、事実確認→②どうして経歴詐称したのか→③反省、謝罪→④対策、という感じで進めていくのですが、本件は関係人が非協力的すぎて➀がほとんど分からなかったので、その後に続く②③④はもちろん行えず、したがって、結局私がやった事は、「真実の申請人の経歴」を伝える事だけでした(もちろん経営管理ビザなので、その辺りの事、事業計画書などはしっかりやってます。)。

具体的には、「過去に提出した履歴書と齟齬はありますが、申請人の経歴は今回申請の履歴書で間違えありません。」という事を立証しようとしました。

そのために、申請人の出生届から小学校~高校~専門コース~下積み時代~技能実習生~独立~現在と、申請人の全ての人生の過程で得られる証明書をかたっぱしから集め、本人作成履歴書に添付して提出しました。しかし、人生の過程において、どんな証明書や記録も入手できない時期もありました。そのような期間は、申請人やその関係人に、その期間はどこで何をしていたのか、を詳細に書いてもらい、公証もしてもらいました。

申請人の方には、たくさんの書類を事細かに指示して作成していただきました。ちょっとでも文言に問題がありそうでしたら、即作り直してもらってました。そんな状態でしたので、再申請までに8ヵ月もの期間がかかってしまいました。事業計画書もつくり直しです。

苦労したかいもあり、何とか許可をいただく事ができました。参考程度に、申請人状況のポイントを簡単に以下に示します。ご参考になれば幸いです。

・技能実習終了からもうすでに13年ほど経過している。

・技能実習終了後に母国帰国、母国でビジネスを成功させている。

・けっこう金持ち

・日本の会社数社と取引がある。

・取引先の社長と技能実習時代の受け入れ会社社長と公私にわたり親交があり、嘆願書に協力してくれた。

・申請人の日本の会社はギリギリ黒字。貿易会社。

 

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