家族滞在ビザのポイント

 このページでは、家族滞在ビザのポイントをご紹介いたします。ご参考になれば幸いです。

1 申請人家族を扶養する意思

 家族滞在ビザは、申請人家族がすでに日本に滞在している方に扶養(養ってもらう)してもらうビザになります。 したがって、ご自身のお子様などを呼び寄せたい場合には、お子様が来日したあと、保育園に通わせたい、小学校へ入れる準備をしてるなど、来日後の計画を示して、「日本に入国後は、こんな感じに世話(扶養)していきます。」とある程度説明する事は親切です。

  尚、長い期間、日本と母国で離ればなれに生活していた配偶者やお子様を呼び寄せる場合には、「どうして今頃になって日本で一緒に暮らそうとしているのか?」という審査上の湧いてくるであろう疑問にも、ある程度の補足説明をしておくべきと考えます。

 ただ、社会通念上、家族が一緒に生活したいという事は、どんな事情説明も不要なことと考えられます(てか、そう考えてほしい、願望。)ので、それほど気にする必要はありません。しかしながら、家族滞在ビザは扶養されることが条件ですので、たとえ家族(配偶者、子、養子)であってもその方の年齢が成人もしくはそれに近いのであれば「この子は扶養必要なの?」と入管審査官は疑問に思いますので、その事に対しては、事情説明書などで「扶養の必要性」を説得的に記載すべきです。

2 申請人家族を扶養できる経済的基盤

  申請者家族が来日後は、もちろんその方を扶養していかなければなりません。それには、当然ですが、お金が必要です。「扶養するための資金」が十二分にあることを示します。この事は、理由書にて申告するだけでは、不十分と考えます。つまり、私はお金があります、ということを、給与明細書、預金残高証明、その他金融資産、資金援助してくれる方の収入証明やその方との関係性、など提示しながら示すべきです。ただし、留学生は、アルバイト収入だけが頼りになりがちです。したがって、少ないアルバイト収入でも問題ないこと、援助してくれる親・兄弟がいること、預貯金があること、学校の奨学金があることなど、少しでも経済的にプラスになりそうなことは、理由書に記載します。もちろん、その事実を疎明する資料を添付しながらです。
 尚、一般的には、「今後1年間やっていくための経済力」が判断基準と言われています。

 技術・人文知識・国際業務で滞在している方の家族であれば、その勤務先、勤続年数、収入などが審査されえます。経営・管理ビザの方が扶養者であれば、その経営している会社の財務状況、運営状況、役員報酬などが審査対象です。高度専門職で滞在している方の家族の場合は・・・・・まぁ勤務先的にも経済的にも問題ないですね。

3 家族結合権を強力に主張

 「家族結合権」。簡単に言えば、「家族が一緒に同居、協力して生活する権利」ということでしょうか。「家族が一緒に生活する」ということは、当たり前すぎて、本来であれば、殊更説明する必要はありません。家族が一緒に生活したいという事など説明不要です (てか、そう考えてほしい、願望。) 。

 しかし、家族ビザが欲しい当事者(扶養者と被扶養者)には、過去に不法滞在(オーバーステイ)、資格外活動許可違反(オーバーワーク)、その他違反などを犯してしまい、家族ビザの許可がおりない方々がいます。このような場合には、「家族が一緒に生活する」ということは当たり前、にもかかわらず、日本においては一緒に生活することが叶いません。このような場合には、「家族結合権」を前面に出した理由書を作成することがよいと思います。ただし、この権利は微妙なので、上述のような違反があると、ほとんど考慮されず、現状、家族ビザはほとんど許可されないと考えてよいです。しかし、それでも主張します。これは私見ですが、この「家族結合権」が過去に違反をしてしまった人たちの突破口となりえると考えています。もちろん、過去の違反内容をしっかりと反省し、処分を受け、改善することは言うまでもありません。ここでの反省文は大作になります。

4 家族滞在ビザに関するその他留意事項

 忘れがちな留意事項として、家族滞在ビザを所持している方が他の在留資格、留学、技術・人文知識・国際業務、経営・管理などにビザ変更した場合、もうもとの在留資格「家族滞在」には戻れなくなるかもしれません、という事です。

 例えば、何らかの理由で、家族滞在ビザで在留していた方が、経営・管理ビザに変更したとします。その後、事情の変化によって、また家族滞在ビザに戻りたいと思った時、これまで経営・管理ビザで収入的に独立した身分で活動(=被扶養者ではない=家族滞在ビザの要件を満たさない)していたのに、独立生計能力があるにもかかわらず、果たして家族ビザに戻れるのでしょうか?

 また、例えば、何らかの事情変更で、家族滞在ビザから留学に変更した場合はどうでしょうか?留学変更時は15歳くらいだったとして、高校卒業、大学卒業し、就活に失敗し、とりあえず家族滞在ビザに戻りたい、場合はどうでしょうか?この時、本人は22歳くらい=独立生計能力あり=扶養の必要性なし=家族滞在ビザの要件は満たさない、という判断がされてしまうかもしれません。

 したがって、家族滞在ビザから他のビザに変更する場合は、その後の人生設計などよく考慮して決めて頂きたく思います。扶養者である方がしっかりしていれば、家族滞在ビザはその他のビザに比較して安定的な在留資格(安定的に更新ができる)だと思います。

4 家族滞在ビザ更新時の留意事項

 家族滞在ビザ更新時に問題になりやすいのが、アルバイトの稼働状況です。家族滞在ビザの方は、資格外活動許可を得れば週28時間までアルバイトをすることができます。ビザ更新時、このアルバイトの稼働状況をよく入管から追及されることがあります。

 具体的には、以下の資料に必要事項を記入させる形で確認されます。それ以外にも、通帳コピー、出勤簿、給与明細書などの資料も要求されて確認されます。

 必要事項を記入して提出すれば、特に問題ありません。しかし、週28時間をオーバーしている月、週などがあれば、それ相応の対策が必要になります。

 留学生は夏休み・冬休みなどは週40時間(1日8時間まで)のアルバイトが認められていますが、「あなたの大学はいつからいつまでが夏休みですか?」と追加資料を要求されます。この大学の長期休業期間は、「大学が指定する期間」であり「学生たちの考える期間」とは違うという事です。例えば、大学は夏季休業開始を7月25日から、と指定していたとします。しかし、学生のほとんどが23日に試験を終了しているので、勝手に「24日から夏季休業」と思いこんでいる場合があると思います。そして24日から1日8時間アルバイトを入れてしまうと、それまで週23時間バイトをしていれば、週31時間で時間オーバーとなり、違法就労となります。たとえ数時間のオーバーであっても違法就労であることには変わりがないので、更新不許可の理由とされても文句は言えなくなってしまいます。

 このような場合は、しかるべき対策を講じることになりますが、対策としては、①現状把握→②なぜ違法状態に陥ったのか分析→③深い反省→④二度と違法状態に陥らないための改善策、という感じになりますが、入管が認めてくれる場合もあれば、全く認めない場合もありますので、週28時間は必ず守るようにすることが最善の対策になると思います。