経営・管理ビザの要件

 このページでは、経営・管理ビザを取得するためのポイントをご説明しています。ご参考にしていただければ幸いです。尚、以下の要件を満たしているからといって必ず許可が下りるわけではありません。以下のポイント以外にも考慮されるべきことは多岐にわたります。

 以下では、経営・管理ビザでの「経営」ビザに説明を絞っています。「管理」ビザに関しては、「経営」とは要件がかなり異なります。

1 事業所(事務所)について

 事業所(事務所)は賃貸物件であることが多いと思いますが、「法人名義」で契約を結んでおきます。安定的・継続的に事業を行う必要があるので、契約期間もそれなりの期間が必要です。月単位の契約などでは不許可となります。転貸借(また貸し)も可能ですが、転貸借契約を不動産オーナー(貸主)が書面でもって承諾してもらっている(転貸借契約の締結)必要があります。

 事業は継続的に営まれる必要があるので、屋台、バーチャルオフィス、コンテナを改造等は認められません。「容易に処分が可能」な事務所は、事業所としての要件を満たすことができません。スーパーハウスなどは、OKな場合とNGな場合がありますので、注意が必要です。

 また、住居との兼用である事業所も可能ですが、住居と事務所が明確に区分されている必要があり、当然ですが、事業目的で使用することを貸主が承諾している必要があります。さらに、近年、上述の「 住居と事務所が明確に区分されている 」がとても厳しく審査されます。自己所有の戸建ての1ルームを事務所として活用したい、というニーズはあると思いますが、「その1ルームは事務所としてしか使用しないのか?家族は利用できる状況か?」「入り口は、お客用と家族用で分けられているか?」「トイレはどこか?」等々と、事務所と生活スペースの区分をしっかり分けて考えています。

2 事業規模(500万以上)について

 よく勘違いされるのですが、経営・管理ビザが欲しい本人が500万すべてを出資している必要はありません(ただし、その方が許可は取りやすいと思います。)。500万以上の事業規模が確保されていることが条件となります。

 具体的に言えば、事業を行うために300万円の設備投資を行い、1名の従業員を雇い経営を始めた、とすれば、「設備投資300万+従業員給与1名300万程/年=600万の事業規模」という考え方です。事業規模として考慮できる投資は、役員報酬や従業員給与、事務機器等、事務所家賃等の事務所維持経費などがあげられます。

 そして、上記の500万ですが、それをすべて本人が出資している必要はありませんが、開業資金を本人がすべて出資するのではなく、借入したりする際には、その出資が「どこの、誰からのものか?」はとても重要です。

 というのも、経営・管理ビザは、その名の通り「経営・管理」ですので経営者や管理者等に与えられるビザです。したがって、会社の経営を行なえる立場である必要があります。例えば、資本金500万の新規会社を設立し、取締役に就任したとしても、他の取締役が300万円所有し、本人は200万の所有であったとすれば、本人の会社への決定権・支配権はないと判断され、「経営を行っている」と認めてもらえない可能性が高いです。それならば、本人に500万円を所有させ、他の取締役は、0円、名前だけの取締役にすればOKか?と思うかもしれません。こういった場合は、その「500万の出所」が問題となります。もしも、その500万を実はすべて他の取締役が出資しているとすればどうでしょうか?本人に会社決定権はあるのでしょうか?もちろんペーパー上は、本人に会社の重要事項の決定権があるとは思いますが、実際はどうなのでしょうか?本人が「会社の経営を行っている」と言えるのでしょうか?

 このように、「会社の経営を行う」は、株式の所有割合、出資金の割合、会社の設立経緯など総合的に判断されますので、「実際どうなのか?」ということはとても重要な要素となります。このことは、「留学」のビザから経営・管理ビザに変更したい場合には、かなり厳密に確認されえます。そのような理由から、事業開始のための出資は、少しでも多く本人が工面する事が最良と考えます。

3 事業の安定性、継続性等について

 事業は、安定的に継続していけるものでなくてはいけません。もちろん、日本の各種法令もしっかりと守る必要があります。

 まだ、経営・管理ビザ取得前ですので、上述のようなことは、「事業計画書」や「会社概要説明書」、「会社設立経緯」などから疎明する事になります。

 日本でビジネスをするための資金はあるか?ノウハウや経験、人脈は?取引先や協力者は?許可の取得は?売上の根拠は?費用概算の根拠は?どのような商品を扱うのか?収益体制は?仕入先は?販売方法は?・・・・などなどです。日本でビジネスを行っていくうえで重要な要素は全て許可・不許可の判断材料になると考えてよいです。したがって、自身のビジネスにおいて有利になるようなことは、積極的に疎明資料でもって主張していくことが望まれます。

 日本で適法に行われるビジネスであれば、どのような業種、風俗営業等でも問題ありません。しかし、入管的には「転売ヤー」のような商売は、ビジネスとして認めていないようなので注意が必要です。「転売」でビジネスを成り立たせたいのであれば(まぁ、商事なんてほんとんど転売のような気もしますが・・。) 、しっかりとした取引先相手、仕入れ先相手を確保する事が望まれます。尚、申請段階で販売先が決まっている必要はありません。しかし、販売先も大切ですので、しっかりと確保しておきたいものです。

4 社長さんの現場作業について

 事業を開始してまだ間もない方が多いと思いますので、なるべく費用を削減したいと思います。日本人の新規起業者であれば、事業が軌道に乗るまでは一人で業務をこなすのも問題ありません。しかし、経営・管理ビザを取得するのであれば、従業員の確保が必要になってくると思います。なぜなら、経営・管理ビザは「社長ビザ」ですので、認められる業務内容は「社長業」です。「社長業」とは、経営事項の決定(商品決定、価格決定、雇用決定、事業戦略の決定、企業折衝など)が相当すると思います。基本的に「現場作業」は、手伝い程度しか認めてもらえません。したがって、売り上げが上がってくるまで何でも一人でこなしたいと思っても、アルバイト等を確保して、現場作業に従事させる必要が出てきます。